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児童虐待をふせぐためには

本当に機能する児相はありえるか?NO・・・・今のままじゃ、民間支援の輪を広げよう!実行力ある支援の輪が求められています。

「(児相は)容疑者の反省の弁を信じ、警察に情報提供や応援要請もしていない。」

「(児相)幹部は『警察はすぐ犯罪と捉えるが、われわれは相手との人間関係を考え、援助していた』と釈明する。

◎だれを援助(支援)しているのか?

第一に考えるのは、被害者の利益、被害者のニーズ、暴力に苦しむ母親と子ども達への援助ではないでしょうか。暴力から逃げたい、安心した生活空間で勉強したい中学男子生徒のための援助ではないのでしょうか。援助の第一条件は、「被害者の立場に立つ」ということです。さまざまな可能性がありました。一時保護以外にも、祖母宅に返す、親類の家に子ども達だけを預ける、NPOが介入する、自治会等・・・、そして、その可能性をこそ、被害者自身が知っていたら、知らせていたら、と思うと誠に残念です。

◎犯罪じゃないの?

イジメ被害事件を支援している時と同じロジックを覚えます。学校内や家庭内で起すと犯罪じゃなくなるの?母親と内縁関係になると、すぐ「親」になるのでしょうか?ヤクザや暴力団組長でも、肉親だけはとても大切にする人もいますが、通常は、他人の男性は他人の血である男性の子を本能的に疎みます。子どもは成長して大きくなれば大きくなるほど、疎ましく、知性が発達し口も立ちますので、深刻な暴力は止まりません。止まるはずはありません。

◎DV被害中の母親に、冷静で客観的な判断ってできるの?

かつて、虐待事件のために刑務所に入所した母親たちを見てきました。日常的に暴力を受けている最中は、うつ病や「乖離(かいり)状態」になっています。その母親にこそ支援が必要でした。福祉(母子保護)の関係者とどう連携をとってきたの?心理、精神的な治療はできていたのだろうか。母親を病院へ入院させる手もありました。同時に子供達を保護するべきでした。

◎視野狭窄の加害者(犯罪者)と「人間関係」を結ぶ支援って何?

役所の「言い訳」に過ぎない。DVの加害者と、なあなあだったと、いみじくも示している。ケースの相手をどう認識していましたか。大人の話の通じる相手ではない場合、行動を伴う措置が必要です。断固とした、誓約書を取りましたか?警察官を同行させた上でしましたか?傷害、暴行は重い罪だと知らせましたか。何もしていないなら、加害者の暴力を加速するよう手助けしたと言わざるを得ません。刑務所に入所した虐待加害男性で心底、反省していた人はひとりもいませんでした。客観的認識、認知が歪んでいるからです。

◎われわれ、って誰?

無責任体制の極みです。ケースを担当したのは、あなたです。そして管理者です。

かつて児童福祉司といっしょに、仕事をしたことを思い出します。愛知県のI市の児童福祉司は尊敬できる専門家でした。性的虐待をしていた少女(姉・妹)のうち、非行をしていた姉を私が担当していました。保護観察所及び保護司から情報提供を真剣に即座に受けて、福祉課職員と連携して、姉妹を施設に保護しました。同時期、名古屋市の職員と、同じような被虐待ケースで少年(姉・弟)の家へ訪問する約束しましたが、会議のあと、その男性職員はサラリーマンで午後5時半を過ぎていたので帰ってしまった。私はどうしても気になるケースだったので自分の家庭(当時、長男は保育園)を省みず、保護司と同行して行きました。弟と居るはずのない母親が家事をしており、さまざまな情報を得ることができました。結局は職員個人の仕事にかける“情熱”“公(おおやけ)を預かる使命感”だと感じました。

<参考下記新聞欄から>

中日新聞コラム(中日春秋)から
2011年10月25日

 <先に立てられない後悔のほぞを後ろに立てて噛(か)む…>。記憶がおぼろげで不正確だと思うが、故井上ひさしさんの作品で、こんな感じの表現にお目にかかった覚えがある。▼「後悔先に立たず」でも「ほぞを噛む」でも足りぬ…。またしても、そんな思いにとらわれる、やりきれない事件だ。名古屋市の中学二年の男の子が、住まいによく出入りしていた母親の交際相手の男に暴行されて亡くなった。昌己君という。まだ、たった十四歳だった。▼逮捕された男は、以前から暴行を繰り返していたらしい。「しつけのためだった」などと供述していると聞けば、余計に血が沸騰するような怒りを覚える。

▼切ないのは、児童相談所には相当以前から何度も通報や相談がなされていたという事実。昌己君の顔に殴られた痕があると重ねて学校から連絡を受けた際には、児相の担当者が家を訪問、男に会っている。男は暴行を認めたが「反省している」と判断、一時保護の対応は取らなかった。▼男が、どんな「後悔」を見せたにしろ、結果から見れば、児相の判断にこそ「後悔」が残る。そして、残念だが、児相という行政の網にかかりながら虐待の悲劇を防げなかったケースは今回に限らない。▼後悔先に立たず、ほぞを噛んでいるだけでは、事態は繰り返される。要員面でも権限でも意識の上でも、本当に「機能する児相」が必要だ。

中日新聞(10月29日)から

「児相任せ 暗転」「深刻さ見逃し/警察へ情報提供せず」「名古屋市、10年で7件 対策強化後も虐待死相次ぐ」などの見出しが大きく掲載された。

「今回の事例は、高いほうから2番目のレベル3で『一時保護』に該当したが、児相は「指導を受け入れている」などとして保護を見送った。河村たかし市長は「判断が問題だった」と述べ、外部有識者を交えて今後、検証する方針だ。

2011.11.03(木曜日)   カテゴリー イベント情報 | コメントはありません »